離婚後の養育費と生活費
離婚後養育費を受けている母子家庭は2割にも満たず、養育費を受けたことがない母子家庭は約6割といわれています。
また、厚生労働省の調査では一人親世帯の貧困率が過半数となっており、母子家庭の厳しい状況が伺えます。
早く離婚したいが為に養育費を決めずに別れてしまうケースも少なくありませんが、ご自身や子どもの為、子どもの将来の為にも、法的効力のある証書、公正証書を作成しておくことをお勧めします。
公正証書があれば、養育費が滞ってしまっても相手の給料を差し押さえることが可能です。
<養育費の決め方>
養育費の額、支払い方法はまず夫婦の話し合いで決めます。
養育費の額は、親の収入により決めて頂きますが
親が贅沢な暮らしをしているのに子どもが貧しいといったことのないよう、妥当な金額を設定して下さい。
妥当な金額とは…
例)子ども1人の場合(年齢14歳以下)
夫の年収500万、妻の年収100万…養育費4〜6万/月
夫の年収800万、妻の年収100万…養育費6〜8万/月
夫の年収1000万、妻の年収100万…養育費8〜10万/月
例)子ども2人の場合(年齢14歳以下)
夫の年収500万、妻の年収100万…養育費6〜8万/月
夫の年収800万、妻の年収100万…養育費10〜12万
夫の年収1000万、妻の年収100万…養育費13万〜15万
子どもの年齢が中学校までと、高校以上とで養育費の額が変わります。
15歳以上になると教育費にかかる額も増えますので、当然養育費の額も上がります。
教育費は、子どもにどんな教育を受けさせるのか、そのご家庭により教育方針が様々です。
子どもの親がどのような教育を受けてきたか…というのが一つの基準となります。
親と同等の教育水準、生活レベルを子どもにも与えなければなりません。
※離婚の際に養育費を取り決めたとしても、環境や事情の変更により、増額または減額、支払い期間の延長等が認められることもあります。
また、離婚時に養育費の取り決めをしていなくても、親には子を扶養する義務がありますので、後から養育費を請求することが可能です。
その場合には、家庭裁判所に養育費支払いの申し立てをします。
「自分の場合の養育費がしりたい」という方は算定表を参考にしてください
養育費でもめて裁判になった場合でもこの「養育費算定表」の通りに決まるといわれています。
ですので、養育費を決めるうえでは最も参考にするべき表ではありますが、この表は通常予想される事情のみを考慮して定めたものになります。
例えば、算定表では子どもが私立学校に進学することを想定していませんので、子どもに十分な教育を受けさせるためには、算定表以上の養育費をもらうか、養育費と別途に入学金や学費といった類のものをもらう必要があると思います。
最近では、この算定表の額が低額であり、生活に事欠き生活保護基準以下になってしまうという問題点も出てきているようです。
公正証書を作成せず滞ってしまった場合
離婚時に養育費は決めていたが公正証書を作成しなかった為に支払がストップしてしまった場合、家庭裁判所で調停の申し立てをしてください。
その場合、申し立てる家庭裁判所は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所となります。
離婚後の経済的不安を少しでも解消するために・・・離婚後の生活費について
離婚後に夫から生活費をもらう事ができるのか?
離婚後、夫が妻を扶養する義務は残念ながらありません。
お子さんがいれば養育費という形でお金を受け取る事はできますが、別途生活費を支払う義務はないのです。
しかし、財産分与の1つに扶養的財産分与というものがあり、夫に経済的余力があり、妻に経済的余力がない場合に認められます。
実際に、夫婦の話し合いによって離婚後何年かは生活費を受け取っているケースが多くあります。
お子さんが小さい間は働きに出るのが難しいですし、かといって養育費だけで生活をするのは苦しいという場合、
あまり強く権利を主張するというよりは
「少しの間だけ生活の援助をお願いする」形で申し出てみる事をお勧め致します。
また、離婚前に別居をしていて、その間の生活費を貰っていなかった場合にも、扶養的財産分与の請求ができます。
※公正証書の作成は離婚届を出す前に。夫婦で公証役場へ行くのが難しい場合には代理作成致します。